宅建とは?宅建士の仕事と試験の科目・問題数・合格率

部屋を借りるとき、契約の前に不動産会社で宅建士証というカードを見せられ、分厚い書類を読み上げられたことはないでしょうか。あの説明をしてよいのは、宅建士だけです。
宅建とは、不動産の売買や賃貸の契約で、お客さんに大事なことを説明する役を法律で任された国家資格です。正式には宅地建物取引士(略して宅建士)といいます。契約前の重要事項説明と、重要事項説明書・契約書(35条書面・37条書面)への記名は、宅建士にしかできません。
宅建の試験は年1回(10月)で、50問・2時間です。4つの選択肢から1つを選ぶ四肢択一のマークシートで、宅建業法、権利関係、法令上の制限、税・その他の4科目から出ます。2025年度(令和7年度)は約24.5万人が受け、合格率は18.7%(受けた人の5人に1人ほど)でした。合格点は50問中33点で、ここ10年は33〜38点です。勉強は、50問のうち20問を占める宅建業法から始めると効率がよいです。
宅建とは?宅地建物取引士はどんな資格?
宅建士は、不動産の契約の前に、買う人や借りる人へ大事なことを説明する専門家です。宅建業者(不動産会社)は、部屋を借りる人や家を買う人に、契約が成立するまでに、宅建士に重要事項説明をさせなければなりません。
説明のとき、宅建士は、求められなくても宅建士証を相手に見せます。そして、物件の権利や制限などを書いた重要事項説明書(35条書面)を渡して説明します。
宅建士は、書面に名前を書く記名もします。記名するのは、重要事項説明書と、契約が成立したあとに渡す契約の内容の書面(37条書面)です。37条書面は、ふだんは契約書がこれを兼ねます。
つまり、宅建士にしかできない仕事は次の3つです。
なぜこんな決まりがあるのでしょうか。不動産会社は取引のプロですが、部屋を借りる人や家を買う人はプロではありません。そこで法律は、宅建士に、取引の専門家として買う人などの利益を守るよう求めています。知識のある宅建士が、契約の前に大事なことを説明するしくみです。
不動産会社は、事務所ごとに、働く人の5人に1人以上の割合で、成年者である専任の宅建士を置かなければなりません。専任とは、原則として、その事務所の勤務時間を通して、もっぱらその事務所の宅建の仕事をすることです。たとえば10人が働く事務所なら、2人以上が必要です。契約をしたり申込みを受けたりする案内所などにも、1人以上置きます。足りなくなったら、2週間以内に補充しなければなりません。
だから不動産の仕事では、宅建士が欠かせません。宅建士の働き方や、資格が活きる仕事は資格と仕事で紹介しています。
ここに書いた宅建士の仕事や、専任の宅建士の決まりは、それ自体が宅建業法の試験範囲です。2015〜2025年の13回で、宅地建物取引士の分野から19問、事務所・案内所等の分野から10問出ています。
宅建に受かったら、すぐ宅建士になれる?
なれません。法律で宅建士とは、宅建士証の交付を受けた人のことです。試験に合格しただけでは、宅建士として重要事項説明はできません。
合格したあと、試験をした都道府県知事の登録を受けます。登録には、2年以上の実務の経験か、登録実務講習の修了などが要ります。そのあと宅建士証の交付を受けて、はじめて宅建士になります。宅建士証の有効期間は5年です。合格から1年を超えて交付を受けるときは、申請前6か月以内に知事が指定する講習(法定講習)を受けます。
登録や宅建士証の手続きの詳しい流れは、合格後の記事にまとめています。
宅建試験は何問で、何点とれば受かる?合格率は?
宅建の試験(宅地建物取引士資格試験)は、法律上は都道府県知事が行う試験です。実際の運営は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)がしています。試験のしくみは次のとおりです。
受験資格は
問題は、
2026年度の試験は10月18日に行われ、合格発表は11月25日の予定です。登録講習の修了者は、45問を13時10分〜15時の1時間50分で解きます。
次の試験の実施は、例年6月の第1金曜日に官報で公告されます。申込みは7月で、インターネットは7月下旬まで、郵送は7月中旬までです。
2025年度(令和7年度)は、245,462人が受験し、45,821人が合格しました。合格率は18.7%、合格点(合格基準点)は50問中33点です(登録講習の修了者は45問中28点)。前年の2024年度(令和6年度)は37点で、1年で4点動きました。
合格点は年によって変わります。2016〜2025年度の10年(2020・2021年度の12月試験を含む)では、33点〜38点です。10月試験の合格率は、この10年で15.4%〜18.7%でした。
登録講習の修了者は5問が免除されます。免除されるのは、土地・建物と、住宅金融支援機構・景品表示法・統計の5問です。ここ13回の試験では、いつも最後の問46〜50でした。登録講習を受けられるのは、宅建業の仕事をしている人だけです。免除は、講習の修了試験に合格してから3年以内の試験で使えます。
申込みの時期や過去の結果など、詳しい数字は試験情報の記事で確かめられます。
宅建試験の科目は?4科目で何問ずつ出る?
宅建試験の科目は、宅建業法、権利関係、法令上の制限、税・その他の4つです。家を買う・借りるときに出てくる、不動産会社のルール・契約・建て替えの制限・税金の話が、そのまま4科目になっています。
土地・建物など
ここから先の出題数と正答率は、2015〜2025年の13回の過去問を自社で分析したものです。正答率は、受験予備校が公表した受験者の正答率をもとに集計しました。
宅建業法とは?(20問)
宅建業法は、不動産会社(宅建業者)と宅建士が守るルールです。50問のうち4割にあたる20問が出ます。いちばん多いのは重要事項説明で、13回で36問、1回に平均約3問です。次が37条書面(27問)、自ら売主制限と業務上の規制(各20問)です。問45は、13回すべて住宅瑕疵担保履行法でした。正答率80%以上の問題が56%あり、勉強した分が点になりやすい科目です。科目の全体像は宅建業法とは?何問出る?分野の出題数と勉強法の記事で解説しています。
権利関係とは?(14問)
権利関係は、売買・賃貸・相続など、人と人との権利のルールです。問1〜10は主に民法で、相続・賃貸借・抵当権・売買などが出ます。問11は借地、問12は借家(借地借家法)が多いです。問13の区分所有法(マンションのルール)と問14の不動産登記法は、13回すべて同じ番号で出ました。正答率60%未満の問題が43%あり、4科目でいちばん難しい科目です。くわしくは権利関係の記事へ。
法令上の制限とは?(8問)
法令上の制限は、町づくりのために、土地の使い方や建物の建て方を制限するルールです。問15・16は都市計画法、問17・18は建築基準法がよく出ます。問19は盛土規制法、問20は土地区画整理法、問21は農地法、問22は国土利用計画法が多く、出る所を絞りやすい科目です。覚えるのは主に数字と手続きです。くわしくは法令上の制限の記事にまとめています。
税・その他とは?(8問)
税・その他は、不動産にかかる税金、土地の値段の決め方、土地と建物の知識などです。問23は国税、問24は不動産取得税か固定資産税、問25は地価公示法か不動産鑑定評価基準です。最後の5問は、住宅金融支援機構・景品表示法・統計・土地・建物で、13回すべて同じ並びでした。正答率80%以上の問題が52%あります。くわしくは税・その他の記事へ。
宅建の勉強は何から始める?
宅建の勉強は、問1の権利関係からではなく、問題数が最も多い宅建業法(20問)から始めるのがおすすめです。
たとえば2025年度の合格点33点なら、50問のうち17問まで落とせる計算です。全部の科目で満点をとる必要はありません。
宅建業法は50問中20問あり、正答率の高い問題が多い科目です。一方、権利関係は範囲が広く、難しい問題が多いので、満点を狙う科目ではありません。法令上の制限と税・その他は、問番号と出る法律がほぼ決まっています。
宅建業法を固めたら、出る所を絞りやすい科目と権利関係を進めます。勉強の進め方は勉強法の記事で解説しています。
宅建試験ではどんな問題が出る?
4科目から1問ずつ、基本の問題を用意しました。本試験は4つの選択肢から1つを選ぶ形ですが、ここでは1つの文が正しいか(○)誤りか(×)を考えます。
例題
Q1宅建業者は、重要事項の説明を、事務所に置かれる専任の宅建士にさせなければならない。
Q2Aが自分の土地をBに売り、その後同じ土地をCにも売った。Cが先に所有権の登記をしたときでも、BはCより先に買ったのだから、Cに所有権を主張できる。
Q3都市計画法の市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域である。
Q4固定資産税は、毎年1月1日に、登記簿や課税台帳に所有者として載っている者に、その年度の分が課される。
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